法人税調査等の状況
令和7年12月に国税庁から「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」が発表されました。この発表の内容をみると、法人税の調査では約78%が間違いを指摘され、平均402万円を、消費税の調査では約6%が間違いを指摘され、平均232万円を追徴されています。
調査1件当たりの追徴税額は直近10年で2番目の高水準となっています。
主要な取り組み
AI・データ分析の活用
AIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、予測モデルが判定した不正パターンに加え、申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に判断しています。
その結果、以下の不正を把握しています。
- 売上伝票を破棄することにより、破棄した分の現金売上げを除外
- 売上代金を代表者の個人口座に入金させることにより、売上げを除外
- 偽りの請求書を作成し、金銭の貸付けを原価(外注費)に仮装して計上
- 不正加担者に単価を水増しした請求書を発行させ、原価(外注費)を過大に計上
- 偽りの出勤表等を作成し、架空の経費(人件費)を計上
- 関連会社に偽りの請求書を作成させ、資金援助として渡した金額を経費(支払手数料等)に仮装して計上
消費税還付申告法人、海外取引法人等及び無申告法人への取り組み
消費税還付申告法人、海外取引法人等及び無申告法人への対応を重点課題として位置付け、厳正な調査を実施しています。
- 消費税還付申告法人・・・通関業者からの情報提供を端緒に、架空の課税仕入れ・免税売上げを把握
- 海外取引法人等・・・外国税務当局への情報交換要請を活用して、売上げの除外を把握、親会社を通じて外国法人に支払ったソフトウエア開発費用の源泉徴収漏れを把握
- 無申告法人・・・あらゆる機会を通じて情報収集等を行い、稼働無申告法人を把握
簡易な接触
調査必要度の高い法人に対しては実地調査を行う一方で、それ以外の申告内容に簡易な誤り等が想定される法人に対しては、実地調査によらず、書面照会や電話連絡などにより、申告書の自発的な見直し・提出を要請する簡易な接触を実施しています。
申告内容に誤り等が想定される法人等に対して、自発的な申告内容の見直し要請などの簡易な接触を実施し、法人税・消費税の簡易な接触の件数は8万5千件(対前年比+13.4% )、申告漏れ所得金額の総額は565億円 、追徴税額の総額は265億円です。
不正発見割合の高い業種(法人税)
調査の結果、不正発見割合の高い上位 10 業種は以下のとおりです。
- バー・クラブ
- その他の飲食
- 外国料理
- 美容
- 大衆酒場、小料理
- 自動車修理
- 船舶
- 土木工事
- 職別土木建築工事
- 中古品小売
詳細については次の「国税庁HPの関連資料はこちら」からご覧ください。